通勤災害で労災申請したものの、不服申立てをすることになったのでその時の経過を実際にやりとりした書類の実物を貼りながらまとめておく。
本件に関しては基本的に弁護士や行政書士の手は借りておらず、素人のサラリーマンである私が一人で対応した。
不服申立てをするまでの流れ

交通事故で骨折し、後遺障害が残ったので労災の障害給付を申請した。
結果、後遺障害は13級(足指の可動域制限)が認められた。

そこまではよかったものの、振り込まれた金額が私の計算と合わない。
ということで、労基署に確認するところから始まった。
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2020年12月10日支給決定通知が届く
障害給付の支給決定通知が届いた。
しかし、金額が私の計算と合わない。
10万円ほど少ない。
具体的には第三者損害賠償受領額の金額が違う。私は保険会社との示談で後遺障害逸失利益は577,156円を受け取ったはず。なのに、支給決定通知には第三者損害賠償受領額が676,154円と記載されている。
10万円も余計に控除されてしまっている。
はて?この金額は一体どうやって計算されたものなのだろうか。
いろいろと考えてみたもののわからない。 -
2020年12月15日労基署に問い合わせ
計算方法が考えても考えてもわからないので労基署に問い合わせてみた。
ami支給決定通知と振込を確認しました。ありがとうございました。
金額が私の計算と合わないのですが、第三者損害賠償受領額の計算方法を確認させていただけますか?労基署職員保険会社から受け取った資料を元に、後遺障害の逸失利益を計算しています。ami保険会社から受け取った後遺障害逸失利益の金額は57万円です。10万円も少ないです。
保険会社との示談書を送るので計算し直してください。示談書を見れば後遺障害逸失利益の金額は57万円であることがわかるだろうと、労基署当てに示談書のコピーを送付した。
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2020年12月19日労基署から電話
労基署から電話がかかってきた。
労基署職員示談書の送付ありがとうございました。
こちらの示談書は保険会社からの書類には含まれておりませんでしたので、確かに再計算が必要でした。amiはい、では再計算するとどうなりますか?労基署職員計算したところ、後遺障害逸失利益は88万円となります。
10万円ほど少ないとのお申し出でしたが、逆に20万円ほど多く支払いすぎているという計算になりました。
ですので、大変申し訳ないのですが、20万円ほど回収させていただくことになるかと思います。amiはぁ。後遺障害の逸失利益が88万円なんてことはありえないのですが・・・。実際そんなにもらってないです。
もう一度計算してみてください。再度確認するとのことで終話。
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2021年2月2日労基署に問い合わせ
連絡が来ないのでこちらから問い合わせ。
労基署職員やはりこちらの計算に間違いはなく、20万円ほどの回収になるはずでして・・・まだ言うか!
ここでも突っぱねてもう一度確認するように促す。
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2021年3月15日労基署に問い合わせ
またしても連絡が来ないので再度こちらから問い合わせ。
労基署職員労基署の計算では逸失利益は88万円となるのが正しいです(↑キッパリ言い切っていた)
ami逸失利益の金額は57万円です。
示談書を見る限りどう考えても88万円になるわけないんですけど。労基署職員いや、でも上司にも確認しましたが、この金額で間違いないようです。
これが労基署の基準に則った計算です。amiじゃあ上司の方と話をさせてください。
私が直接説明します。労基署職員それはできません!!話が噛み合わない上にこちらをクレーマー扱いしている。
もう一度だけ上司に確認すると言って終話。
上司上司って・・・少しは自分で考えろ。上司っていっても課長レベルだろうに・・と私もイライラを募らせ始めた。
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2021年3月18日労基署から連絡
3日後、電話がかかってきた。
労基署職員逸失利益はこちらの計算が正しい計算方法になりますので変更はできません。amiはぁ。もはや呆れている。
労基署職員年度末を控えており、これ以上待てません。上司からも早く決定を出すように言われています。
決定を出すと20万円の回収が必要になりますので、ami様にはお支払いいただくことになりまして・・・この発言を聞いてさすがに私もキレた。
ami待てませんと言われる筋合いはありません。
そもそも何ヶ月もこちらを待たせ、私から連絡しないと何も言ってこなかったのはそちらですね。今になって私が納得しないせいで決定通知が出せないから困っているとおっしゃるんですね!
わかりました。即日決定を出していただいて結構です。20万円も一旦はお支払いしますよ。
即刻書面にて審査請求の手続きをさせていただきます。すると労基署職員の声色がなぜか明るくなる。クレーム対応が終わったとでも思ったのだろう、
労基署職員承知しました!審査請求は当労基署宛ではなく東京労働局宛におこなっていただくことになりますのでー!もうこの担当者と電話をしていても、全く話にならない。
決定通知に審査請求に必要な書類を同封してくれるとのことだった。
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2021年3月20日支給決定通知(誤)が届く
言われていたとおり、20万円回収の支給決定通知が届く。
支払い方法については後日通知すると書かれていた。今すぐ支払うわけではないらしい。
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2021年5月19日回収額(誤)を支払う
決定通知から2ヶ月くらい経った頃になってようやく回収額20万円の振込票が届いたので、郵便局で20万円ほど支払う。
コンビニでは支払いできなくて、平日の9~16時の間に郵便局(正確にはゆうちょ銀行?)まで行かなきゃいけないというめんどくささ。
しかも、本来は払わなくてよい20万円という大金を。ああ、あほらしい。
開示請求の流れ

10万円返ってくるはずだったのに、20万円も誤徴収されるなんて。
なんとしても取り返さなければいけない。
まずは審査請求に先立って、一体何をどう見て逸失利益を88万円としたのかを明らかにする必要があるので、開示請求をした。
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2021年3月23日開示請求書を提出
請求には所定の開示請求書に必要事項を記載のうえ、300円の収入印紙が必要。
こんな風に貼り付けて、東京労働局宛に送った。
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2021年4月23日開示請求が認められた
開示請求をしてから約1ヶ月、東京労働局から手紙が届く。
開示請求が認められたらしい。
「保有個人情報の開示の実施方法申出書」とやらに記入して返信する必要あり。
郵送開示希望なので、郵送料140円分の切手を同封して翌日返送した。
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2021年5月1日開示請求した資料が届く
開示請求した資料がどっさり届いた。
ゴールデンウィークはこれを読み漁ることに(笑)
審査請求の流れ

開示請求で受け取った書類を読み解き、労基署の計算方法がどうおかしかったかを特定した。
どう考えてもおかしいのは明らか。
審査請求で、30万円の返金を求める手続きを進める。
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2021年5月28日審査請求書を提出
開示請求でもらった資料を確認し、やはり労基署は明らかに間違った計算方法で逸失利益を88万円としていたことがわかった。
「逸失利益は57万円である」と保険会社と弁護士からも改めて確認を取っていたので、それを証拠として審査請求書を提出した。
「十一 減処分をした労働基準監督署署長の教示の有無」の意味がわからなくて空欄にしていたら不備扱いされて修正を求められた。
これは労基署から審査請求制度があることとそのやり方を伝えられたがどうかという意味らしく、担当者から説明されていたので「有り」として再提出した。この審査請求書と一緒に私が作成した申出書はこちら(PDFでA4 4枚)
労基署の計算のどこかどうおかしいのかを説明した書面を付けた。素人が書いたものなので表現などいろいろとおかしいかもです・・・
見たい人がいるかわからないが頑張ったので残す(笑) -
2021年6月11日審査請求が受理
東京労働局から審査請求受理の手紙が届く。
この手紙に書いてあるように口頭で質問ができるらしいので、一体どんな風に論破しようかと話の流れを考えていた。
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2021年6月29日労基署から連絡
不服申し立ては東京労働局とやりとりをするので、労基署と直接話すことはないはずなのに、担当の労基署から電話がかかってきた。
なぜ?と思い電話をとる。
労基署職員この度は大変申し訳ございません。
不服申し立ての内容を確認しました。
本来であれば不服申し立てに対しては、労基署側の意見を労働局に伝えて審査を進めることになるのですが、今回に関してはami様のお申し出内容が完全に正しく、こちらから反論できる点がございません。
当初の計算方法は間違っておりました。
お問合わせをいただいていたにもかかわらず、間違った計算方法で手続きしてしまい申し訳ございませんでした。
今回は明らかにこちら側のミスですので審査請求の手続きを待たずに、ami様のお申し出内容と全く同じ金額で再度修正の決定をさせていただきます。なんと審査請求プロセスを経ずして、労基署が間違いを認めてきた。
しかも電話をしてきたのは前回の担当者とは違う方だった。
amiあら、ずいぶんあっさりとお認めになられて驚きました。
だからあの時あんなに説明したのに。
ところで当時の担当者と上司の方は?労基署職員4月の異動で担当が変更になり、今は私が担当させていただくことになっております。
こちらの度重なる不手際で大変ご迷惑をおかけしました。
審査請求という手続きまでお取りいただき、かけたお手間を考えると本当に心苦しく感じております。amiそうなんですね。
当時の方と直接お話しできなくて残念です。
あ、あなた個人のせいではないのでもう謝らなくて結構です。
このあと私はどうしたらいいですか?労基署職員ami様のお申し出のとおりに金額を修正する手続きを進めさせていただきたいと思います。
つきましては審査請求をお取り下げいただけますでしょうか。
取り下げの手続き方法については東京労働局の審査官から別途お知らせします。ということで審査請求はあっけなく解決した。
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2021年7月5日審査請求の取り下げ
審査請求の取り下げをする書式が送られてきていたので、署名して返送。
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2021年7月7日労基署から修正金額の振込
その後、程なくして30万円が振り込まれた。
翌日、修正された支給決定通知も届いた。

これにて一件落着。
金額が間違っていたことによって、開示請求、審査請求からの修正に3ヶ月もかかった。
私の場合、労基署の計算がおかしいことに確信を持っていたので、審査請求すれば勝てると思っていたけど、それでも「もし認められなかったらどうしよう」という不安は多少あった。
審査請求の書類の書き方なんてサッパリわからないから、書くのに何日もかかったし。
請求プロセスでは収入印紙や切手代などの出費はあるし、郵便局に行くために仕事の調整も必要だったし。
結果は私の主張が認められて良かったんだけども。
まぁスッキリはしないかな。
労力考えたら、
って言ってやりたい。
そんなこと言わないけどさ。
こんな凡ミス、ごくごくごく稀なケースだろう。というか、そうであってほしい。
交通事故から保険会社との示談まで1年9ヶ月、そこから労災の決着がつくまでにさらに8ヶ月。
交通事故のゴタゴタが全て解決するのに2年5ヶ月もかかった。
もう二度と交通事故は御免だ。
残りの人生、この経験を教訓として気をつけて生きていこう。